手の平で愛撫して

関西の沼から抜け出せない人

言語オタクがリューンを考察したら 後編

再びやって参りました。前編で書ききれなかったところを記していきたいと思います。

前編はこちら、

awase3so.hatenablog.jp

 

前編では長々と人名について話しましたが後編では地名から話していきたいと思います。

それではれっつらご〜〜!(古)

 

 目次

 

 

2.地名の意味役割

 こちらも見出しのままです。人名同様、分解したり、意味を当てはめたりしていきます。そこからその地は登場人物に「どのような影響を与えるのか」という話に繋がる……かも……(自信がない)。

 

2.1 ルトフの里

 みんなが暮らす風の里、ルトフの里ですが数少ない、綴りが与えられている固有名詞です。"Rutov's village"なんです、"Rutov"と綴ります。……なんでいきなりロシア語っぽくなった??北方民族とわりと近い地域みたいなのでルトフの里もおそらく北国ゆえにロシア語っぽい名前なのかしら…。

ルトフも該当する言葉がなさそうですが、ここでひとつ突飛な解釈を。「ルトフ」は"root tough(ness)"において 't' の子音結合、接尾辞の消失(していいのかはさて置き)したものが訛ったものだと捉えます。「強さを根付かせる(里)」ということになります。フロダイが家族を失ってやってきたもう一つの故郷と言えるこの場所は彼らを大きく成長させ良くも悪くも強くさせました。悲劇が始まるけれど2人とも「仲間を守りたい」という気持ちのもとの行動、間違いなくルトフの里で2人は強くなったわけです。とんでもねぇこじつけだ!って誰かに言われそう……。

ちなみに"loot tough(ness)"と捉えると真逆の意味「強さを奪う(里)」となるんですが"Rutov"という綴りが明らかになってるからあんまり考えなくても良さそう。

 

2.2 オビオテ砂漠

 ここは短いです。オビオテは"oviothe"と綴るわけですがここでもなんでいきなりフランス語っぽい名前になった?!となりました、'the'を「テ」って読む感じがわたしの中ではフランス語のイメージ。でもまあオビオテって作中でも言語もわからない外国扱いなのでいきなりそうなってもおかしくないか…。ていうかオビオテ族の言語解読した人おられるんですかね??ロゼッタストーン解読みたい……。わたしも参加したかった……。

 

2.3 たたら島

 みんなの(多分)トラウマ☆たたらアイランド!わたしはたたらアイランドの語感が非常に好きです(笑)。「他の場所はカタカナのカッコいい名前つけてもらってるのにいきなり"tatara"ですか?!ww」ってなってました、ゴメンなさい(わたしだけじゃないよね……?)。そのくせして悲劇の場所なのがもうね………この島のシーンで泣かなかった人おられますか?おられますか?でもそもそも「たたら」って日本古来の製鉄法らしく該当する英単語等はないので致し方ないやつです。

ではなぜ洋式製鉄法ではなく日本古来の「たたら」を選んだか。たたら製鉄」は古代からはじまり江戸時代に全盛を迎える製鉄法な訳ですが、武士がいた時代といえばやはり腹切り首刎ねですかね。武士がそうするときは何か罪を犯したときか自死だったりするわけですが(思い出す大奥の鶴岡*1 )たたらアイランドの貧しい民衆もフローたんは何も悪いことはしていないので自死が投影されていると考えます。

そう考えると、「武士が守りたい人、もの(主君や武士のプライド)のために自分の身体を失う」=「民衆やフローが守りたい人、もの(家族や仲間、無辜の民)のために自分の身体を失う」というように言い換えられるかもしれません。自己犠牲を描くには良い名前だったのかな……。

 

3.名前と「調和の3」

 さて、ここまで長々と名前について語ってきましたがそこから導き出されるわたしなりの解釈をまた一つ話したいと思います。

「この物語において『聞こえない』ことは平和を意味している」という話です。いやいきなり名前から飛んだな?という感じですが名前とまたリンクします。

 

というのも、ダイ、エルカ、フローの順に並べて頭文字をとるとDEF=/def/="deaf"となるのです。3人揃った状態だと「聞こえない」状態であるということです。エルカの名前がフローリアではなく何か他の女の子の名前でもない意味はここにあるかな、と思っています(エミリーでも良いじゃんとは言わないで)、前編でわざとらしくエルカの疑問を太文字アンダーラインにした理由です(笑)。

ダイ、エルカ、フローが揃っていた平和な時間は「聞こえていなかった」時間です。これすなわち"deaf"の状態が調和の必須条件であるということ。知らぬが仏ってことなのかな。

 

これを前提に考えるとダイがいなくなった("deaf"が未完成の)状態は「聞こえている」状態で、ダイを探すにあたって「風の声」を「聞く」ことが重要視されることになります。「風の声」を聞くことは同時に「ダイの悲痛な叫び」を聞くことを意味していると考えられます。

物語終盤、フローは片耳も舌も失いますが、ここで耳を失うことで「聞こえる」状態から「聞こえない」状態にまた戻ります。すなわち3人揃った状態="deaf"が完成される予兆です。ダイを救うのに「風の歌」を歌うことが必要なので舌を取り戻すことができますが片耳は返ってきません。"deaf"を取り戻すことができたフローとエルカは(黒い獣のいない)ダイを取り戻すことができ、またここで調和の3を完成させることができます。ただ、ダイが戻ってきても里は以前のような様子ではないし、ダイス先生もいないし、周りとの関係もきっと変わってしまっています。そもそもダイはまた旅に出てしまっているし。フローの片耳が返ってこないのは、変容してしまった里と人を象徴するとともに離れ離れになっても調和の3を保てるように"deaf"を完成させる、という意味かなあと思っています。

 

だったらせめてフローたんの片腕は返してあげてよ〜〜!という感じだけど……。あれは自ら差し出したものだから返ってこないのかしら……(あまり纏った考えがないので深く突っ込まない)。

 

 前半含め長々と話してきましたがここで一旦終了です。ファンルンは課題です。文法無視するわ、詰めが甘い部分や無理やりなところもあるわ……でおそらく何を言ってるんだこいつはと思っている方もいらっしゃると思いますが、わたしの脳内はこうなので変えようがありません(真顔)。優しく受け止めていただけると幸いです。

 

それでは皆さん良いお年を〜〜!

 

最終報告:

リューン、尊い

*1:2010年公開映画、金子文紀監督『大奥〈男女逆転〉』内で大倉忠義さん演じる鶴岡はだいぶ早めに切腹した。