手の平で愛撫して

関西の沼から抜け出せない人

言語オタクがリューン考察をしたら 前編

 世の中はやれクリスマスだ、やれ2019年もあと1週間で終わるだなどという頃合いに、今更リューンに頭を支配されています。これを読んでいただいている稀有な方々、メリークリスマスそして良いお年を。(初めてはてブを書くもんで、あたふたしております…。)

 さて、タイトルでも触れました通り今回リューンのために書いております。えぇ、みんな大好きリューン*1。世のなにふぁむ、特に丈橋担の頭を抱えさせ続けるある意味最強のミュージカル。何を見てもリューンを思い出す人がいるとかいないとか。前からぽつぽつと考えていたのですがなぜかこのタイミングで文字起こししまして量的にはてブに残すことにしました。そして割と長くなります。今回これを書くにあたって色々とヒントやクルーをくれたわたしのお友達、ありがとうございました。

 

 題の通り、わたしはおそらく言語オタクです。言語オタクと言っても言語習得オタクではなく分析オタクとでも言いましょうか。音声波形を見てニヤけたり、語を分解して考えたり、語源を調べては楽しんだりしています。類語の棲み分けを調べてひとりでほくほくするなどいとをかし。"breakfast"の語源を知った時はとてもテンションが上がりました。*2

そんなわたしがリューンを考察する訳ですが、観劇から半年以上経っている上に観たのはサガジョでのプレビュー公演*3のみなのでおぼろな記憶とパンフレットと得意なこじつけで話を進めて行きます、ご容赦ください。初演は見ていませんし、細かい部分はほぼ覚えていません。〈名前〉〈印象的な場面〉から考えます。ていうかこの舞台、外来語の固有名詞なのにその綴りが分かってるのがあんまりないんですよね、想像の幅は広がるけど難しいナ……。さらに当方豆腐メンタルなので頷けない部分については優し~~く教えていただけると幸いです。解釈は個人の自由なので争いたくはありませんし。

 

前置きはこの程度にして、ちょっくら行ってみよ~う!

 

目次

 

 

1.人名にも意味がある

 見出しの通りです。何の捻りもない名前ですいません。名前を分解したり意味を当てはめたりして考えていく次第です。名前って意味を持って与えられていると思っています。それは現実世界だけでなく、フィクションの世界であっても。因みにとれ関の自己紹介コーナーに「名前の由来は?」の質問枠を設けた人は天才です(断言)。多分ただ単純に「語呂が良い」とかいう理由で付けられたものもあるとは思いますが今回それは無視で通したいと思います。

 

1.1 リューン

 この舞台のタイトルです。リューン って名前言いやすいし叫びやすいよね……無意味にりゅ〜んとか言いたくなる。皆さんもちゃおちゅ~るのリズムに乗せて言ってごらん…。とまあそんなかわいいかわいい"lune"という単語について考えます。"lune"はフランス語では「月」を意味します。けれど本作ではフランス語の/lyn/(リュンヌ)の発音ではなく、英語の/luːn/ (リューン)の発音寄りなので英語の解釈を採用します(この後の他の単語の解釈でも英語で考えていきます)。英語だと「弓形、三日月」でみんな大好き「調和の3」です。

 さらに三日月は月の大部分が欠けた状態、ゆえにそれを名に背負うダイとフローは欠けた部分を補填し合う関係性とでも言いましょうか…まぁエルカにリューン って付かないけどそこは一緒に行動してるしいいよね…3人で補填しよう……(雑)。「リューン」って二人の故郷ではみんなにつく名前のようだけれどフロダイが唯一の生き残りだし、ほかには風の魔法使いだけです。フロダイと風の魔法使いの3人で最後のリューン。ここでも調和の3ができますね。エルカだけでなく風の魔法使いとも調和の3を完成させることができるフロダイです。

 

1.2 リューン ・ダイ

 大橋さん演じるダイです。ダイの陰陽良かったよね………あの獣が入る瞬間の目つきとかさ……ダイってもともと復讐心を持っているキャラなのに明るい性格を振る舞っているんだなぁ……(溜息)。

本筋に戻りますと「ダイ」という名前を聞いて1番初めに思いつくのはやはり"die"「死ぬ、滅びる」です。それを象徴するかのようにダイは多くの人を「死」に追いやり、自分の身も(フローの身も)「滅し」ていき、剣を手にする以前の平和を「破滅」させてしまいます。ぴったりな名前という感じです。一体ダイは何人殺してしまったのだろう……。

 そんでもって次に同じ発音の"dye"「染める、染まる」です。色を染めるという意味で使われますがここで誰かを染めているのは「」でしょう。ダイも、フローも、里もみんな「」で染まっていきました。勿論「染まる」という日本語から「悪」というワードも共起されます。

 いずれにせよ「ダイ」という名前から関連づけられるのは「死」「破滅」「血」といったおどろおどろしいトンデモワードの数々ではないでしょうか………。

 

1.3 リューン ・フロー

 フローよフロー、フローさん、どうして君はそんなに身を呈してしまうの???もっと自分大事にして???って誰もが思いますよね…… あとさんの歌声めっちゃアラジンの声に聞こえたんですけど早急にホールニューワールドを歌ってください

そんなフローの名前では"flow"が出てきます、動詞だと「流れる」とか「湧き出る」、名詞だと「流れ」、「洪水」とかそんな感じです。「流れる」というと液体をイメージしますが「音」も空気を伝って振動が波として耳まで流れてくるものです。「風の声」を聞くフローからは「(音の)流れを掴む」という意味が連想できます。

 更に、フローはダイによって流れる(た)「」を「洗い流そう」とする人です。具体的に言うとダイを止めるべく彼を殺しに行くということです。」で「染まって」いく友人を、里を救うためにフローも「」を「流し」ながらその「染み」を「洗い流そう」としてるんです……(カギカッコ多すぎ読みづらい)。フローが流す血の量も洪水のような量ですよね…よく失血死しなかったな……(急に現実)

 "flow"で語り尽くした感がすごいですがもう一つ、"flaw"という単語。「ひび」とか「欠陥」「外傷」の意味。フローが片腕片耳(と舌)失うのも初めから決まっていたことなのかな……。

結論:

フローたん、身を呈しすぎ。

 

1.4 エルカ

 ここで厄介なのがエルカ、なぜならフロダイのように該当する単語が見つからないから。まず綴りがわかんないから考えるの難しいんじゃあと脳味噌が叫んでいるよ……。そもそも「エルカ」は女の子に付けられる名前です、この作品女性キャラにはわりとスタンダードな名前付けられてませんか?(ex:フローリア)。エルカもだいぶ重要キャラなのに…滅びの剣発見しちゃうのに…なんでなーん?音だけ欲しかったのかな…?(フロダイの長さの半分くらいになってしまったのごめん)

 

1.5 ダイス先生

 みんなの先生!ユカイさん!だけどすべての根源!!元凶!!のダイス先生で〜〜す。「ダイス」という名前はやはり「ダイ」の複数形なんですかねぇ、すべての元凶なので「死」の数も「血」の数も多いはずで、その意味で複数形です。

 もう一つが「サイコロ」の意味の"dice"、これはダイの時に触れませんでしたが'die'のもう一つの意味にも「サイコロ」があります。サイコロの目は6までで"dice"自体にも立方体の意味が含まれます。6は「調和の3」に「対立の2」が掛けられた数です。遥か昔ダイス先生がガンドラ王だった頃、魔法使い、民衆たちとの「調和」を忘れ、魔法使いへ抱いた嫉妬や羨望によって「対立」して起きた事件がこの話のすべての元凶。この物語で「調和」が失われた初めての瞬間でしょう。この世界で6は何の6なんですかね…。

 

1.6 ダナトリア

 フロダイの憎き相手、ダナトリアです。こやつもエルカ同様該当する言葉が見つからない……!ですがひとつちょっと無理くり解釈で行くと"dun a triad"です。ほら皆さんもそれっぽく言ってみてください。ほら、「ダナトリア」になります。和訳すると「3人組をしつこく悩ます」ということ。ん?3人組?この3人組とはおそらくダイフローエルカのことでしょう。ダナトリアがルトフの里を襲わなかったら、フロダイの故郷を襲わなかったら、彼らはあれほど苦しむ必要はないからです。また、「ダン」を"done "と捉えると、「3人を終わらせる」という意味も出てきます(正確にいうと"get a triad done"で「3人組を終わらせる」になります)。というかダナトリア様の名前からも調和の3が見つけられるってこの作品で如何に3が大事かってことよ………。

 兎にも角にもダナトリアはその名前からしてフロダイの敵であるということです。

 

 ファンルンの話はいつになったらするの?って思ってるでしょうか………なんと、ファンルンに至っては、、全く考えがまとまっていません!全力で謝罪します。何か良い考えがまとまりましたら追記します。

 

長々と人名について語ってきました(ちょいちょい感想を挟んでいるせいでもある)がこちらの話、まだ終わっていません。後編も書く予定ですのでここまで読んできて頂いた物好きな方には是非そちらもチェックしていただきたいです。

 

中間報告:リューン、尊い

 

*1:正式名称は『リューン~風の魔法と滅びの剣〜』

*2:"fast"断食を"break"止めるので"breakfast"です。ほら、ゾクゾクしません?

*3:2019年6月1日相模女子大学グリーンホールでの公演